労災不支給決定取消訴訟(肺がん)
被害者Xさんは、1956年から1986年まで、大工として長年働き、アスベストによる肺がんになりました。Xさんが労災申請をしたところ、不支給決定が出されたため、これを取消す行政訴訟を提起しました。
裁判で、国は、Xさんの肺の石綿小体は998本であり、平成19(2007)年通達の要求する石綿小体数5000本を下回るとして、肺がんはアスベストによるものではないとして争いました。また、Xさんは肺気腫にもなっていたことから、Xさんが喫煙者であると一方的に主張し、それが肺がんの原因であるとしました。しかし、Xさんの石綿小体数は、本体基準とすべき平成18(2006)年基準を満たしており、かつXさんには全く喫煙歴はありませんでした。
2014年3月26日、大阪地方裁判所は、原告側の主張を全面的に認め、Xさんの肺がんはアスベストによるものであるとして、労災不支給決定は違法であるとしました。国はその後控訴せず判決が確定し、Xさんには、労災が支給されました。